健康診断や人間ドックで異常を指摘された方、要再検と言われた方へ
健康診断や人間ドックで異常を指摘された、要再検と言われたが、よくわからないから、症状がないから、と放置していませんか?
逆に、健康診断や人間ドックの結果に記載されたコメントには、素人にはとても理解できないような専門用語が書かれているのを目にして、不安になる方も多いのではないかと思います。
検査には、「正常」とされている範囲があり、それに当てはまらなければ「異常」と判定されることになるわけですが、その異常所見は、経過観察で良いのか、病院に行って精密検査を受けたほうが良いのかわからないという方が非常に多くいらっしゃいます。
健康診断や人間ドックで異常ありと診断されたら、その異常がどんな意味を持つのか、治療しなくても大丈夫なのかを検討するため、必ず、医療機関を受診してください。
現在、厚生労働省のデータによると、平均的な要介護期間は、男性は約10年、女性は約13年となっています。介護状態になると、本人がつらいだけでなく、家族の負担も増え、老人ホームの費用など出費も膨大となります。できるだけ健康でいる時間を延ばすことが理想的で、若い時から手入れをしておく事が重要です。
当院では、高血圧、高脂血症・脂質異常症、高尿酸血症、心電図異常、心臓病や甲状腺疾患、甲状腺腫大などに重点を置いて診療しています。
≪目次≫
下記の項目から、あなたの健診異常にあてはまる項目があったら、緑のボタンをクリックしてください。解説のページに移動します。
高血圧
高血圧とは
高血圧とは、正常よりも血圧が高い状態で、収縮期血圧(上の血圧)140以上、拡張期血圧(下の血圧)90以上の場合、高血圧の可能性があります。
現在、日本では高血圧の状態にある人が、約4300万人いると言われています。
その数は、年齢が上がると増加し、60歳代では約6割、70歳代では約7割の方に高血圧が認められます。しかし、症状もないため、人間ドッグや健康診断で、高血圧を指摘されても、高脂血症などの他の生活習慣病と同様に、内科や循環器の専門医に診療してもらわずに、そのままにしている人も多いのではないでしょうか。
高血圧を放っておくと
人間の心臓は、1日約10万回動いていて、約8トンの血液を全身の血管に送り出しています。高血圧を放置しておくと、全身の血管が1日10万回高い血圧にさらされる事になります。
上の血圧が正常血圧の120以下で血管に血液を送り出すのと、例えば上の血圧が170ぐらいと強い圧(血圧)で血液を送り出すのでは、血管の傷み方に雲泥の差がでます。塵も積もれば山となるように、動脈硬化が増悪し、やがて、脳卒中、心筋梗塞、腎不全(透析)となり、寝たきりにつながります。
大事な点は、高血圧のこわい合併症である脳卒中、心筋梗塞、腎不全(透析)、寝たきりは、血管が高い圧にさらされる事によっておこります。したがって、血圧を正常値に下げてしまえば、合併症の危険性はかなり低くなります。
健康診断で高血圧を指摘されたが、全く症状がないからと放置しておかれる方も多いと思いますが、それは大変危険な事です。合併症により生活に支障がでる前に、高血圧あるいは循環器の専門医の診療を受けることをお勧めします。
当院にご来院いただければ上記方針で検査いたします。
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脂質異常症(高脂血症)
脂質異常症、高脂血症の原因として、大きくわけると3つあります。
1つ目の原因として、肥満の方によくみられる、食事の摂り過ぎにより、脂質を取り過ぎている場合です。
2つ目の原因として、コレステロールなどは、肝臓でも合成されますが、肝臓でコレステロールを過剰に増産し過ぎて高脂血症、脂質異常症となるケースです。
やせているのにコレステロールが高い、家族(血縁関係)に高脂血症、脂質異常症の人がいる場合は、このケースに該当します。
3番目の原因として、橋本病などの甲状腺機能低下症により代謝が低下して、高脂血症、脂質異常症となるケースです。
橋本病は女性の10人に1人、男性の30~40人に1人はいると言われていますが、健診項目や通常の医療機関の検査項目には無いので、見逃されているのが現状です。橋本病は、知らずに放置しておくと、動脈硬化が進み、中年で脳梗塞や認知症になるこわい疾患ですが、血液検査で簡単に調べる事ができます。
高脂血症、脂質異常症を指摘されたら、LDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪の値に一喜一憂するだけではなく、将来、高脂血症、脂質異常症から、心臓病や脳梗塞により寝たきりになるのを防ぐため、現在の動脈硬化の程度を調べる事が、とても重要です。
頚動脈エコー検査で、現在の頚動脈の動脈硬化の状態が簡単に調べられ、また、頚動脈の先にある脳動脈の動脈硬化の程度を予測する事ができます。
大阪の国立循環器病センターで、約5000人の人を、約13年間追跡したところ、頚動脈に動脈硬化巣が認められた人は、動脈硬化の程度が強いほど、脳卒中や狭心症・心筋梗塞になりやすい事がわかりました。
心臓のエコー検査と血液検査でBNP値を測定する事により、高脂血症、脂質異常症による動脈硬化で生じた、心臓弁膜症の状態や、心不全への進行の程度が、簡単に分かります。
一番大事な点は、高脂血症、脂質異常症を指摘されたら、そのまま様子を見るのではなく、心臓専門医のクリニックで診察をしてもらう事が重要です。
当院では、現在のあなたの高脂血症、脂質異常症の程度を確認するとともに、橋本病など背後に隠れている疾患の検索を行います。また、将来、高脂血症、脂質異常症から、心臓病や脳梗塞になり、寝たきりになるのを防ぐために、エコー検査等で、あなたの現在の動脈硬化の程度を調べます。そのうえで、一番良い治療法を、皆さんに提示したいと考えております。
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高尿酸血症、痛風
高尿酸血症とは
高尿酸血症は血液中の尿酸値が高い状態です。
高尿酸血症は、痛風や尿路結石の原因となるだけでなく、あまり知られていませんが、放置しておくと、痛風腎となり、腎臓の機能が低下して慢性腎臓病、腎不全となって透析になる事もある病気です。
現行の診断基準では血液中の尿酸値が7.0mg/dlを超える場合に高尿酸血症と呼んでいます。
男性に多く見られ、30歳以上の男性では30%ほどが高尿酸血症と言われています。女性には少ないと言われていますが、閉経後には高尿酸血症のリスクが高まります。
痛風とは
足の親指の付け根などに、突然激しい痛みの発作が出るのが、痛風発作の典型的な症状です。歩いたり、靴をはくのが困難になる事も、珍しくはありません。
高尿酸血症の状態のままでいると、ある日突然、痛風発作に襲われます。痛風発作は夜中から明け方におきる事が多いと言われています。注意しないといけないのは、痛みがなくなったからといって放置し、適切な治療や生活習慣の改善を行わないと、痛風発作を繰り返すようになり、やがて常に痛みや腫れを認めるようになり、骨や関節の破壊や変形が現れるようになります。
尿路結石
尿路結石とは、尿に排泄された尿酸が結晶化し、尿路に石ができる病気です。尿路結石の代表的な症状は血尿と腹痛や背部痛などの痛みです。血尿は、尿が赤くなって見える場合で、尿路が結石により、傷つき、出血することでおこります。
痛風腎、慢性腎臓病、腎不全
尿酸は尿路だけでなく、腎臓そのものにも蓄積します。腎臓に、尿酸の結晶ができた状態を痛風腎と呼びます。痛風腎が、悪化すると、腎臓の機能が低下して、慢性腎臓病、腎不全となり、透析などの治療が必要になる場合もあります。腎臓は、一度障害されると、回復が難しい臓器です。
検尿検査で、尿蛋白や血尿を認めたり、血清クレアチニン値が上昇している場合は、痛風腎の可能性がありますので、注意が必要です。また、健診で高尿酸血症を認めた場合は、必ず、腎臓の状態もチェックしましょう。
一番大事な点は、高尿酸血症、痛風を指摘されたら、そのまま様子を見るのではなく、動脈硬化の専門医である心臓専門医のクリニックで診察をしてもらう事が重要です。
当院にご来院いただければ上記方針で検査いたします。
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心電図異常
異常Q波、ST低下、ST上昇、陰性T波、T波増高、T波減高、平定T波、
ST-T変化、R波増高、R波減高、RSR‘パターン、低電位差
健診や人間ドックの心電図検査で、異常所見ありと記載があっても、よくわからないから、症状がないから、と放置していませんか?
逆に、健診や人間ドックで心電図をとって返却されたコメントには素人にはとても理解できないような専門用語が書かれているのを目にして、不安になる方も多いのではないかと思います。
心電図検査(ECG)とは、心臓の電気的活動を体表の電極で検出して調べる検査です。心電図検査では心臓の様々な情報が得られますが、ざっくり言うと、不整脈と虚血性心疾患などの心疾患の有無、この2つをチェックする検査です。
健診や人間ドックなどでは、心電図の自動診断機能で診断される場合が多いのですが、我々心臓の専門医からみると、自動診断機能による心電図判定は必ずしも正確とは言えません。心臓専門医がひとつひとつの波形をじっくりと吟味して、初めて正確な診断が得られます。
また、心電図検査のみでは心臓の状態や病気のことが全てわかるわけではありませんので注意が必要です。
心電図異常と診断されたら、その異常がどんな意味を持つのか、治療しなくても大丈夫なのかを検討するため、必ず、心臓専門医のクリニックを受診してください。
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心雑音、心拡大
健診や人間ドックで、心雑音や心拡大を指摘されたが、胸痛や息苦しさなどの症状がないから、と放置していませんか?
逆に、心臓の異常を指摘され、急に不安になる方も多いのではないかと思います。
心雑音や心拡大を指摘された場合、心臓弁膜症や心筋症などの心疾患が隠れている場合があります。隠れている心臓弁膜症や心筋症などの心疾患のレベルも、自覚症状がない場合でも、①定期的に経過観察が必要、②慢性心不全に移行しないように予防薬を服用する、③既に慢性心不全のレベルまで心臓機能が低下しているため直ちに治療が必要、など様々です。
心雑音・心拡大を指摘されたら、①心臓弁膜症や心筋症などの心疾患があるのかないのか、②心臓弁膜症や心筋症などの心疾患がある場合、経過観察で良いのか、治療する必要があるのかを検討するため、必ず、心臓専門医のクリニックを受診してください
甲状腺の異常
TSHというホルモンが高い、あるいは、低い
甲状腺ホルモンの異常を指摘された
甲状腺が腫れていると言われた
甲状腺の病気をかかえている人は実は多く、中年女性の10人に1人は橋本病(甲状腺機能低下症)、バセドウ病なども含めると7人に1人は、甲状腺の病気があります。そのため、欧米では、一定年齢以上の女性は、健康診断で必ず甲状腺ホルモンを測定していますが、残念ながら日本ではほとんど行われていないのが現状です。
また、男性の場合、頻度が少ないため、甲状腺の病気を疑わせる症状があっても、検査されていないことが、多々あります。
日本では、多くの人が、甲状腺の病気を持っている事に気づいていません。
TSHというホルモンは脳の下垂体というところから分泌されています。このホルモンにより甲状腺で作られるホルモンの量が一定になるように調節しています。
つまり、TSHが高かったり、低かったりしたということは、何らかの異常が甲状腺で生じている可能性が高いので、詳細な採血検査やエコー検査が必要です。
また、TSHだけでなく、甲状腺ホルモン(FT4、FT3)の異常も指摘された場合、2大原因である橋本病やバセドウ病のみならず、その他の甲状腺疾患の可能性を検討する事が必要です
甲状腺に腫大やしこりを指摘された場合、大きく分けると甲状腺が全体的に腫れる病気の場合と甲状腺腫瘍の場合があります。
甲状腺が全体に腫れる病気には、バセドウ病、橋本病、単純性甲状腺腫などがあります。
甲状腺にできる腫瘍には、良性と悪性があります。甲状腺に腫瘍がみつかった場合、まずはエコー検査を行い、悪性が疑われれば、精密検査が必要となります。
バセドウ病に代表される甲状腺機能亢進症は、なかなか気づきにくい病気で、放置しておくと、骨粗鬆症、心房細動による脳梗塞や甲状腺クリーゼにより昏睡状態になる可能性があるこわい病気です。また、橋本病に代表される甲状腺機能低下症も、なかなか気づきにくい病気で、更年期障害や自律神経失調症などと言われて治療されていることも多いのですが、放置しておくと、徐々に物忘れがひどくなったり、血管の動脈硬化が進むため、脳梗塞にもなりやすいと言われています。
検診で甲状腺の異常を指摘されたら、その異常がどんな意味を持つのか、治療しなくても大丈夫なのかを検討するため、必ず医療機関を受診してください。
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