当院の診療について
高血圧・糖尿病・高脂血症などの治療は、お薬をもらって時々血液検査をするだけでは、寝たきりは予防できません。幸福長寿(幸せに暮らす)・健康長寿(健康で長生き)をめざすには、寝たきりの原因となる脳梗塞や心臓病を予防しながら治療していく事が重要です。
そのため、当院では、脳梗塞予防の指標となるなる頚動脈エコー検査や心臓病がわかる各種心臓検査などで、患者さんの脳や心臓の状態を把握しながら治療をしています。
また、肝臓(脂肪肝の有無など)や腎臓(腎結石の有無など)がわかる腹部エコー検査なども施行しています。そして、血液検査やエコー検査などで、認知症の原因の一つとなる甲状腺機能低下症の早期発見にも力を入れています。
外観・院内
当院の検査装置
心エコー検査
心エコー検査によって、狭心症・不整脈以外の心臓のほとんどの病気がわかります。
心臓の病気を心配して患者さんが来院された場合、症状をくわしく聞いて、まず、心臓の聴診、心電図・胸部レントゲン検査を行います。これらの検査で何らかの異常が疑われた場合には、心エコー検査を行います。
心臓は1日に10万回収縮して、8トンの血液をいろいろな臓器に送り込むポンプの役目をしています。心臓には、右心房・右心室・左心房・左心室という4つの部屋があり、それぞれの部屋の出口に弁というドアがあります。
心臓がこわれると、4つの部屋の一部が異常に大きくなったり、部屋の壁である筋肉の動きが低下します。また、各部屋の出口にある4つの弁というドアが、開きにくくなったり(弁の狭窄症)、きちんと閉じなくなったり(弁の閉鎖不全症)します。心エコー検査により、これらの異常がわかります。
心エコー検査は、簡単な検査で約20分間で終了します。母親のおなかの中の赤ちゃんの発育状況を調べるのにもエコー検査を使うことからもわかるように、体に害はありません。
心不全が分かるBNP検査
血液検査をするだけで、簡単に心臓の機能(心不全があるか無いか)を、調べることができます。
心エコー検査では、心臓の筋肉の動きや弁の状態を調べることにより、心筋症や心臓弁膜症、心筋梗塞など心臓に病気があるか無いかがわかります。しかし、これらの病気により、心臓の機能がどれぐらい低下しているかを正確に把握するには、血液検査でBNPを調べる必要があります。ただし、心エコー検査でもBNP検査でも、狭心症と不整脈の存在はわからず別の検査が必要になります。
BNP検査の数値が | |
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40以下 | 狭心症・不整脈以外の心疾患が存在する可能性はほとんどない。あるいは心疾患が存在していても治療によりコントロールされている状態です。 |
40以上 100以下 |
何らかの心疾患が存在する可能性が高く、心機能もやや低下していますが、慢性心不全の状態ではありません。 |
100以上 | 何らかの心疾患により心機能が低下していて慢性心不全の状態になっています。薬剤の服用や塩分制限により、心機能の悪化を防げます。 |
200以上 | 心機能の低下がさらに進行し、心不全により入院する可能性が高くなります。 |
運動負荷心電図
糖尿病・高血圧・高コレステロール血症などの持病がある人は、運動負荷心電図検査を受けましょう。
狭心症は、心臓の筋肉に血液(酸素や栄養分)を送る冠動脈という血管に動脈硬化がおき、血管が細くなる事により発症します。歩いたり、坂道を昇ると、血管が細いために心臓の筋肉に充分な血液が送れなくなり胸痛が生じます。ほっておくと血管が完全に閉塞して、心筋梗塞になり、命に危険な不整脈がでる可能性があります。
狭心症は安静にしていると発作が出ないため、人間ドックなどの通常の心電図検査で見逃されることがよくあります。狭心症を見逃さないためには、運動負荷心電図検査が必要です。3分間凸型の階段を昇り降りしてもらい、安静時の7倍心臓を動かすことにより、狭心症がわかります。
胸痛を認める場合、胸痛がなくても糖尿病・高血圧・高コレステロール血症の持病がある方、タバコを吸っている方は、狭心症が隠れている可能性があるので検査を受けましょう。
ホルター心電図検査
ホルター心電図検査によって、動悸・失神の原因と、治療の必要があるか無いかがわかります。
動悸や失神は、不整脈の他、貧血・自立神経失調症など、さまざまな原因でおこります。動悸を心配して来院された場合、まず、心臓の聴診、心電図・胸部レントゲン検査・血液検査を行います。ただし心電図検査は10拍ぐらいの脈しか記録できないので、不整脈が見つからないことも少なくありません。
心臓は1日に10万回収縮します。ホルター心電図検査は胸に電極を貼って自宅に帰り、次の日に再度来院し病院で器械を回収することにより、自宅での24時間10万回の心電図波形を、すべて記録します。10万回の心電図波形をすべて解析し、治療すべき不整脈がないか検討します。
また、明け方、心臓の血管が痙攣して細くなり、胸痛発作を生じる異型狭心症という病気の診断にも使用します。
電極を貼るだけなので、痛みはありません。
頚動脈エコー検査
頚動脈エコー検査によって、将来脳卒中や心筋梗塞になりやすいかどうか等が予測できます。当院では一緒に甲状腺も調べています。
頚動脈の先には、脳動脈があります。また、頚動脈は心臓の動脈と性質が似ていると言われています。頚動脈エコー検査をする事により、寝たきりの原因となる脳卒中や心筋梗塞になりやすいかどうかがある程度予測できます。
大阪の国立循環器病センターで、約5000人の人を、約13年間追跡したところ、頚動脈に動脈硬化巣が認められた人は、動脈硬化の程度が強いほど、脳卒中や狭心症・心筋梗塞になりやすい事がわかりました。
また、甲状腺腫大等がある場合、甲状腺機能が低下している場合が多いと言われています。甲状腺機能低下症は知らずに放っておくと、認知症になりやすいと言われています。当院では、頚動脈エコー検査時に、甲状腺も調べています。
エコー検査は、約20分間で終了します。母親のおなかの中の赤ちゃんの発育状況を調べるのにもエコー検査を使うことからもわかるように、体に害はありません。
腹部エコー検査
肝臓や腎臓、膵臓の異常は血液検査だけではわかりません。血液検査では主に機能の異常がわかるのに対して、腹部エコー検査では腫瘍や胆石や腎結石などのような形態の異常がわかります。
当院の腹部エコー検査では、その他にも男性では前立腺、女性では子宮なども検査しています。
エコー検査は、約20分間で終了します。母親のおなかの中の赤ちゃんの発育状況を調べるのにもエコー検査を使うことからもわかるように、体に害はありません。