心臓の病気を心配されている方へ
- 健康診断で心電図の異常や心拡大、心雑音などを指摘された方
- 動悸、胸痛、息苦しいなどの症状がある方
動悸、胸痛、息苦しいなどの症状がある場合は、狭心症や心臓弁膜症、心筋症、不整脈などの疾患を合併している可能性が高くなります。時には、甲状腺疾患や貧血などの内科的疾患が心臓に影響を与えて、これらの症状を引き起こしている場合があります。また、これらの症状がなくても、健康診断で心電図の異常や心拡大、心雑音などを指摘された場合、狭心症や心臓弁膜症、心筋症、不整脈などの疾患が隠れている可能性があります。心不全の初期も症状が出ない場合が多いのが事実です。
これらの疾患を知らずに放置しておくと寝たきりや突然死につながる可能性があるため早急に診断する事が肝要です。
当院では、心臓弁膜症・心筋症がわかる心エコー、狭心症・心筋梗塞がわかるダブルマスター運動負荷試験、不整脈がわかる24時間ホルター心電図など、心不全が分かるBNP検査などで心臓の病気がないか検索します。それと同時に、血液検査等で心臓に負担をかける他の内臓の病気がないかなども検索し、原因の究明に努めます。
主な心臓の病気とその検査方法
狭心症・心筋梗塞
狭心症は、心臓の筋肉に血液(酸素や栄養分)を送る冠動脈という血管に動脈硬化がおき、血管が細くなる事により発症します。歩いたり、坂道を昇ると、血管が細いために心臓の筋肉に充分な血液が送れなくなり胸痛が生じます。ほっておくと血管が完全に閉塞して、心筋梗塞になり、命に危険な不整脈がでる可能性があります。
胸痛を認める場合、胸痛がなくても糖尿病・高血圧・高コレステロール血症の持病がある方、タバコを吸っている方は、狭心症が隠れている可能性があります。
狭心症は安静にしていると発作が出ないため、人間ドックなどの通常の心電図検査で見逃されることがよくあります。狭心症を見逃さないためには、運動負荷心電図検査を受けましょう。
心臓弁膜症
心臓は、心臓の4つの部屋の出口にある4つの弁が、1日約10万回開閉する事により、全身に毎日約8トンの血液を送り出しています。
その弁がうまく開かないようになったのが狭窄症(大動脈弁狭窄症など)で、きちんと閉じない状態が閉鎖不全症(僧帽弁閉鎖不全症など)です。最近は、高齢化に伴い心臓弁膜症が急増しています。胸痛や息苦しさなどの症状が出てからでは心臓の機能が低下しているケースが多いので、65才以上になったら、一度心エコー検査をうけることをお勧めします
心筋症
心筋症は、原因不明で心臓の筋肉が、薄くなったり(拡張型心筋症)、厚くなって(肥大型心筋症)、十分な血液が心臓から出せなくなる疾患です。命に危険な不整脈を伴う場合もあります。この疾患は、心エコー検査やBNP検査をする事により見つける事ができます。
不整脈
不整脈は種類が多く、そのまま放置した方が良い不整脈から、専門病院ですぐに治療を受けた方が良い不整脈まであります。動悸を自覚した場合や、狭心症・心筋梗塞、心臓弁膜症、心筋症が見つかった場合は、ホルター心電図検査を行う事によりどのタイプの不整脈かわかります。
心不全予防で寝たきり予防・健康長寿
心臓の病気は知らず知らずに進行していきます。65才以上の方は症状がなくても検査を受けましょう。
2018年に心不全のガイドラインが改正され、心臓を守ることも寝たきり予防や健康長寿につながることが強調されています。
心臓は1日に10万回も拍動して、1日に8トンの血液を全身に送り出す大変重要で働き者な臓器です。心臓が10秒程度動かなくなるだけで失神すると言われています。
心臓の機能が低下すると、脳や肝臓・腎臓・手足などの重要な臓器に血液(=酸素)を送り込めなくなり、寝たきりにつながると言われています。心臓がだんだんと悪くなり、生命を縮める病気が心不全です。
心不全になっても、すぐには、息切れやむくみなどの症状は出ません。寝たきりにならないためには、症状が出る前からあるいは症状が軽いうちに治療をする事をおすすめします。
心不全の治療は3つあります。
1. 心不全になる前の治療
心臓の病気になりそうなグループ、具体的には高血圧、脂質異常症(高脂血症)、糖尿病などの持病がある方、肥満、運動不足、睡眠不足、喫煙といったよくない習慣があり、将来心臓の病気になりそうなグループです。このグループの方の場合、食生活の改善・運動習慣の改善などをまず図り、生活習慣の改善だけではうまくいかない場合、降圧薬などの薬物療法を行う事により心不全の発症を防げます。
2. 心不全の原因となる疾患の治療
狭心症・心筋梗塞、心臓弁膜症、心筋症、不整脈などの病気と診断された場合、放置していくとあっという間に心不全になってしまうので治療を続け、心不全の状態にならない事が重要です
しかし、心臓専門のクリニックでないと、これらの疾患を見つける事は容易ではありません。当院では、心臓弁膜症・心筋症がわかる心エコー、狭心症・心筋梗塞がわかるダブルマスター運動負荷試験、不整脈がわかる24時間ホルター心電図などで心臓の病気がないか検索し、これらの疾患の早期発見に努めています。
3. 心不全の治療
胸部レントゲン検査で心臓が大きくなっていれば、心不全と簡単に診断がつきますが、その時点では心機能の悪化がかなり進んでいます。当院では心臓が負担を感じると上昇するBNPという心臓ホルモンを利用する事により、早い段階で心不全を診断して、治療を開始する事により、寝たきりになるのを予防しています。
当院では各種検査をしながら、あなたの心臓の状態を検討し、それぞれの仕事や環境等も考慮しながら一人ひとりにあった個別の治療(生活習慣の改善・薬物療法)を展開していきます。
当院の目標は、患者さん一人ひとりの心臓の状態を把握して、心臓機能の悪化を防止し、寝たきりを予防し、快適な生活を送っていただくことです。