糖尿病について
人体は筋肉、骨、臓器などそのすべてはたくさんの細胞によって成り立っていますが、これらの細胞が働くためのエネルギーとしているのがブドウ糖です。しかし、このブドウ糖の血中濃度(血糖値)が、度を過ぎて高くなることによって身体に様々な悪影響を及ぼす病気が糖尿病です。
この血液中のブドウ糖を細胞にうまく取り込む役割を果たしているのが膵臓から分泌されるインスリンというホルモンの一種なのですが、膵臓の機能が低下しインスリンの分泌量が不足して働きが悪くなるとブドウ糖が効率よく細胞にいきわたらなくなります。そのため全身の細胞にエネルギーが補給されず、働きを悪くするなど悪影響を及ぼします。
1型糖尿病やインスリンを必要とする糖尿病、HbA1c8%以上などの高度な糖尿病は、糖尿病専門医の診察を受けた方が良いですが、中等度までの糖尿病であれば、食生活を患者さんの負担にならないように穏やかに変更する、体重も患者さんの負担にならないよう穏やかに減らす、無理のないその患者さんにあった運動を指導する事など、生活習慣の改善によって、薬の量を減らすことができます。当院では単にいつものお薬を処方するだけでなく、生活習慣の改善の改善も提案していきます。
糖尿病の怖い点は、高脂血症や高血圧などのように動脈硬化が進み、血管が詰まることで心筋梗塞や脳梗塞、腎不全といった重篤な事態を招くことがある事です。糖尿病独特の合併症として、糖尿病性腎症で透析になったり、糖尿病性網膜症で失明したり、糖尿病性神経症で足切断する方もいます。
糖尿病の治療は、将来起こっては困る、心不全や脳梗塞により、寝たきりになるのを防ぐために、透析や失明や足切断を防ぐために行います。血液検査で血糖値・HbA1c値を測定して薬をもらうだけでは、それらの合併症を防ぐ事は困難です。心エコー検査・運動負荷心電図などにより高血圧の合併症である心疾患を重症になる前に発見し、頚動脈エコー検査等により将来発症する脳梗塞を予測しながら治療していくとともに、場合により眼科や腎臓内科・神経内科の先生方も連携していくことも重要です。