健診で心電図異常を指摘されたら・要再検と言われたら 心房細動

横浜市で開業している、みたに内科循環器科クリニックの三谷です。

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今回のブログでは、『健診で心電図異常を指摘されたら・要再検と言われたら 心房細動』について、お話ししたいと思います。

《始めに》

健診において、心電図検査で、異常所見ありと記載があっても、よくわからないから、症状がないから、と放置していませんか?
逆に、健診で心電図をとって返却されたコメントに、素人にはとても理解できないような専門用語が書かれているのを目にして、不安になる方も多いのではないかと思います。

健診などでは、心電図の自動診断機能で診断される場合が多いのですが、我々心臓の専門医からみると、自動診断機能による心電図判定は必ずしも正確とは言えません。心臓専門医がひとつひとつの波形をじっくりと吟味して、初めて正確な診断が得られます。
また、心電図検査のみでは心臓の状態や病気のことが全てわかるわけではありませんので注意が必要です。

心電図異常と診断されたら、その異常がどんな意味を持つのか、治療しなくても大丈夫なのかを検討するため、必ず、心臓専門医のクリニックを受診してください

《正常の心臓のはたらき》

人間の心臓は、1日10万回収縮して、1日8トンの血液を右側の心臓から肺へ、1日8トンの血液を左側の心臓から全身へ、送り出しています。

自動車も、エンジンとタイヤだけでは動けず、安全に走行できるために、ワイヤーハーネスという電気コード゙の束が車全体に張りめぐらされています。

心臓も、刺激伝導系という電気コードの束が心臓全体に張りめぐらされていて、毎日16トンもの血液を効率よく送り出す事ができます。

刺激伝導系の興奮は、洞結節というペースメーカーから始まります。洞結節は、安静時では1分間50~100回、運動すると100回以上興奮します。洞結節は小さいので、洞結節の興奮は心電図上で見る事はできません。

洞結節の興奮は、心房の筋肉に伝わり、心房の筋肉を収縮させ、血液を心室へ送り出します。心電図上ではP波として記録されます。

心房から心室へ十分に血液を送り出すため、刺激伝導系の房室結節という伝導路を刺激がゆっくり伝わります。

心室に十分血液がたまったら、房室弁という心房と心室の間の弁を閉じて逆流しないようにしておき、今度は、刺激伝導系の右脚と左脚が心室の筋肉を収縮させ、大動脈から全身へ、肺動脈から肺へ毎日合わせて16トンもの血液を送り出しています。心電図上ではQRS波と記録されます。

この規則正しい心臓の興奮は、1日に約10万回、何も病気がなければ、120年間繰り返されます。

この規則正しい心臓の興奮のどこかが障害されたのが不整脈です

《心房細動とは》

通常では、自分のペースメーカーである洞結節は、平均すると1分間に約70回、1日に約10万回興奮し、心房に張りめぐらされて刺激伝導系を介して、心房の筋肉を統一した動きで、一気に収縮させ、心房から心室に血液を送ります。

しかし、心房細動では、自分のペースメーカーの機能が消失してしまい、心房の筋肉は、めいめい勝手に収縮してしまいます。そして、不定期に心房細動による電気信号が房室結節という電気コードを介して、不定期に心室の電気コードである右脚・左脚に電気信号が送られ、心室が収縮します。

そのため、3つの良くない事が起こります。

不定期に心室へ送られる電気信号の間隔が速すぎると、頻脈となり、心室の筋肉がエネルギー不足となり、収縮力が低下し、心不全となります。

逆に、不定期に心室へ送られる電気信号の間隔が遅すぎると、徐脈となり、心臓から、全身に十分な血液(=酸素や栄養分)を送れなくなるため、息苦しさやだるさ、足のむくみ、めまいなどの症状が出現し、失神を防ぐために、人工ペースメーカーを挿入する手術が必要となります。

一番こわいのは、心房細動から脳梗塞になる事です。心房が、統一のとれた動きで血液を心室に送り出せず、心房細動の字にも表れているいるように、心房が細かく振動しているだけになるので、血液の流れが滞ります。心房の最奥にある左心耳では、血液がよどんで固まってしまいます(血栓)。血栓が何かの拍子に心臓から飛び出て、脳の血管につまると、脳梗塞となります。

さらに、心房細動によっておこる脳梗塞は、心房から、比較的大きな血の固まり(血栓)が脳の血管に飛ぶので、脳の血管の根本付近に血栓がつまり、通常の脳梗塞に比べて、大きな脳梗塞になります。

心房細動は、心臓疾患や内臓疾患に伴って起こる事が多いのですが、老化現象によっても起こるので、年を取れば取るほど、起こりやすくなります。しかし、年だからといって、放置しておくと、上記のようなこわい状態となり、最悪の場合、寝たきりになります。

一番大事な点は、心房細動を指摘されたら、放置すると、心不全、脳梗塞、失神、死亡する場合もありますので、そのまま様子を見るのではなく、循環器科で心臓専門医に診察をしてもらう事が重要です

当院にご来院いただければ上記方針で検査いたします。

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