健診で、甲状腺機能亢進症、甲状腺中毒症、バセドウ病を指摘されたら

横浜市で開業している、みたに内科循環器科クリニックの三谷です。

今回のブログでは、『健診で、甲状腺機能亢進症、甲状腺中毒症、バセドウ病を指摘されたら』について、お話ししたいと思います。

なお、それぞれの疾患の診断、治療等については、当院ホームページの『診療案内』の『甲状腺機能亢進症・バセドウ病』も、ご参照ください

疲れやすい、だるさを感じる、人よりも暑がりである、イライラし、落ち着かない、集中力がない、手足がふるえる、動悸、頻脈、息切れを感じる、手足がむくむ

このような症状を感じたら、甲状腺機能亢進症、甲状腺中毒症の可能性があります。最初はあまり気にならない軽度な症状のことが多いですが、放っておくとどんどん治療が難しくなります。

《甲状腺機能亢進症、甲状腺中毒症とは》
甲状腺はのどぼとけの下にある蝶(チョウ)が羽を広げた形をした臓器で、甲状腺ホルモンを作っています。このホルモンは、血液の流れに乗って全身の臓器に運ばれて、代謝を活発化したり、成長を促進したりと大切な働きをしています。血液の甲状腺ホルモンが多すぎたり少なすぎたりしないように、脳の下垂体より分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)によって調節されています。
甲状腺機能亢進症、甲状腺中毒症とは血中の甲状腺ホルモンの働きが過剰になる状態を言います。代謝が活発になり暑がりになったり、汗が多くなったりします。エネルギーが無駄に消費されてしまうため食事の量は増えますが、やせてきたりします。神経にも作用して手のふるえやイライラ、下痢など、体の様々なところに症状が出現します。

《甲状腺機能亢進症、甲状腺中毒症の主な原因》
甲状腺機能亢進症、甲状腺中毒症は、甲状腺でホルモンが多く作られすぎる場合と、甲状腺が壊れたりして甲状腺ホルモンが血液にもれ出ることにより甲状腺ホルモンが多すぎるようになる場合の2つの原因に、大きくは分けることができます。

甲状腺でホルモンが多く作られすぎる場合としては、①バセドウ病、②機能性甲状腺結節などがあります。

《バセドウ病》
バセドウ病は、甲状腺機能亢進症、甲状腺中毒症の代表的な病気です。人口1,000人あたり0.2~3.2人と報告されています。男女比は1:5くらいと言われています。

バセドウ病は自己免疫疾患のひとつです。自己免疫疾患とは、細菌やウイルスなどから体を守るための免疫が、自分の臓器・細胞を標的にしてしまうことで起きる病気の事です。
正常な甲状腺では、脳の下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)が、甲状腺ろ胞細胞にあるTSH受容体を刺激することによって甲状腺ホルモンは産生され、血液中に分泌されていきます。
バセドウ病は、このTSH受容体に対する抗体が体内で作られてTSH受容体を刺激し続け、甲状腺ホルモンが過剰に産生・分泌されることで起こる病気です。

《機能性甲状腺結節(プランマー病)》
甲状腺内の結節(腫瘍)があっても、多くの場合、無症状です。しかし、その結節自身が脳の下垂体のホルモンである甲状腺刺激ホルモン(TSH)の制御をうけず、勝手に甲状腺ホルモンをどんどん産生する場合があり、その場合、甲状腺機能亢進症、甲状腺中毒症となります。

甲状腺が壊れたりして血液にもれ出ることにより甲状腺ホルモンが多すぎるようになる場合として、無痛性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎などがあります。

《無痛性甲状腺炎》
亜急性甲状腺炎とあわせて破壊性甲状腺炎ともいわれます。
甲状腺は、「ろ胞」と呼ばれる小さな袋のような構造がたくさん集まっています。この袋の壁である「ろ胞上皮細胞」で、甲状腺ホルモンのもとをつくって、「ろ胞」の中に一時的に貯めておきます。
慢性甲状腺炎などで甲状腺の「ろ胞」の破壊がおこると、「ろ胞」内の甲状腺ホルモンは血液中に放出されてしまうため血中の甲状腺ホルモン濃度が高値になります。
甲状腺が徐々に壊れて痛みがないため、無痛性甲状腺炎と呼ばれています。
多くの場合、血中甲状腺ホルモンは数ヶ月の経過で正常化します。一時的に甲状腺ホルモンが低下することもあります。

《亜急性甲状腺炎》
カゼなどが原因となり、甲状腺のろ胞が急に破壊されるため、上記の無痛性甲状腺炎と違い、甲状腺(前頚部)の痛みや発熱を伴います。痛みに対し内服加療が必要になることがありますが、多くの場合は数ヶ月で自然に改善します。

甲状腺機能亢進症はなかなか気づきにくい病気で、放置しておくと、骨粗鬆症、心房細動による脳梗塞や甲状腺クリーゼにより昏睡状態になる可能性があるこわい病気です。
また男性も、女性に多い病気だからといって油断せず、注意が必要です。
首の腫れが気になる方、健康診断や他院での採血検査で甲状腺機能の異常を指摘された方、甲状腺機能亢進症を疑わせる症状を認める方は、当院で甲状腺の精査を受ける事をおすすめします。

当院にご来院いただければ上記方針で検査いたします。

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